東京高等裁判所 昭和24(を)新3513 高裁判例
主 文
本件控訴を棄却する。
当審における未決勾留日数中百五十日を原判決の本刑に算入する。
当審における訴訟費用中証人として召喚されたAに支給された分以外は
すべて被告への負担とする。
理 由
弁護人小風一太郎、同鈴木重一及び被告人の各控訴趣意はそれぞれ末尾に添附し
た同人等名義の控訴趣意書と題する書面に記載してある通りであるから、これに対
し順次左の通り判断する。
弁護人小風一太郎の控訴趣意第五点について。
<要旨第一>本件被告人の逮捕が現行犯人逮捕の方法によるべきか或は緊急逮捕の
方法によるべきかは論議の余地の存す</要旨第一>る問題ではあるが、これは公訴提
起の効力とは別個の問題である。裁判所は公訴の受理に当り被告人の逮捕方法の当
否を調査すべきものでないことは言うまでもなく公訴の受理後被告人の逮捕方法の
誤れることを理由に公訴を棄却すべきものでないことも訴訟法上明らかである。原
審の訴訟手続には所論のような違法は存しない。論旨は理由がない。
同第六点について。
<要旨第二>刑事訴訟法第二百八条は被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求を
した日から所定期間内に公訴を提起し</要旨第二>ないときは検察官は直ちに被疑者
を釈放すべき旨を規定したものであつて、勾留のまま所定期間後に為された公訴提
起が無効なる旨を規定したものではない。しかのみならず、本件被告人については
右所定期間が同条第二項により参考人取調の必要上適法に延長され該延長期間内に
公訴提起が為されたことは記録に編綴された勾留状及び起訴状の各記載に徴して明
らかであるからこの点に関する攻撃も当を得ない。論旨は理由がない。
同第八点について。
<要旨第三>民事訴訟法の送達に関する部分には「送達を受くべき者」と「交付を
受くべき者」とを区別して規定してい</要旨第三>るのであつて、所論公判期日召喚
状については「送達を受くべき者」は東京拘置所長一人であるが「交付を受くべき
者」の中には、右召喚状の受領者たる看守部長Bも包含されるのであるから、右召
喚状の送達は同人の受領により適法に為されたものと言わねばならない。しかもそ
の公判期日には、被告人は出頭して異議なく審理を受けているのであるから、原審
の審理、判決にはもとより所論のような違法は存しない。論旨は理由がない。
(その他の判決理由は省略する。)
(裁判長判事 三宅富士郎 判事 荒川省三 判事 堀義次)